ネパールでは極度の貧困にあえぐ人々が、まだ多く存在します。貧困は、特に子どもたちの生涯にわたる様々なチャンスを奪います。貧困から抜け出すことは極めて難しく、親の貧困が子どもの貧困に繋がるという「貧困の連鎖」の構造が明確に存在します。その背景にはカースト制度やジェンダーの不平等、宗教的価値観、伝統や文化など複雑に関連し、ますます貧困からの脱出を困難なものにしています。
私たちは、ネパールの歴史、伝統、文化を理解し、教育の機会を提供することで子どもが自ら成し遂げようとする力、個性豊かに生きる力を育成する取り組みを行っています。さらに、自分自身と大切な人の健康を守る力、夢を実現する力を強める活動を行っています。
ネパール政府は慢性的な栄養不良率を現在の36%から2025 年までに24%に、2030年までに14%に削減することを掲げています。そして、この目標を達成するために優先するべきこととして
1)貧困に陥っている地域を把握し重点的に支援を行うこと
2)男女差別やジェンダーの不平等をなくし、文化、社会学的に不利になる社会の偏見や差別から不利な立場にある人を守ること
3)思春期の青少年・女子の栄養不良や貧血の健康課題を解決すること
4)増え続ける過体重を減らすことに注目しています。
私たちはこれらの背景を理解し、自身と家族そして地域が栄養改善に向けて取り組むことができる知識や技術を学ぶ機会を提供することで、健康への関心を高め、ヘルスリテラシーを発展させる活動を行っています。
今日、ネパールでは栄養の二重負担という健康問題が増加しています。二重負担というのは、痩せすぎ:低栄養(栄養不足)と太り過ぎ:過剰栄養(肥満など)が、同時にある状態のことです。低栄養は子どもの成長や発達を妨げ、特に貧血や栄養失調は思考や活動力を低下させます。また、肥満は将来の生活習慣病になる可能性を高めます。小さく生まれた低出生体重児は、将来的に過剰栄養いわゆる肥満になりやすく生活習慣病のリスクが高くなることが分かってきました。(DOHaD)これまでネパールでは栄養失調や飢餓など栄養素の不足が問題でありましたが、現在では二重負担が深刻な課題に変わり肥満と低栄養の二極化が進んでいます。ネパールの妊婦さんの栄養状態は痩せと肥満の二極化しており、貧血率は高く、お腹にいる赤ちゃんにも影響を与えています。私たちは全世代、特に妊婦の栄養改善や生活習慣病を予防するための活動を行っています。近年、ネパール人の若い世代では、ネパールの都市部や国外へ出稼ぎに出て家計を支えるという就労形態を選択する人々が増えました。ネパール経済の発展、人々の暮らしが物資的に豊かになるためには大切な動きではありますが、家族関係に大きな影響を与えています。
私たちは日本に住むネパール人が孤立しない社会を実現したいという願いと共に、ネパールに住む人々に対しても同じ願いと目標をもち、すべての世代が健康と福祉を享受できるように活動をしています。
ネパールでは女性が家の中で仕事をするという伝統的な慣習により、男女の教育格差が生じています。山岳や農村地域に住む女の子や女性たちは学校に行く時間、遊ぶ時間を削り、体を休める時間を割いて足場の悪い山道を往復して重労働である水くみをします。
水汲みだけではなく、家畜の世話、きょうだいの世話、お母さん、おばあちゃんの手伝い、マキ集め、農作業など家庭労働をこなしています。
児童労働や児童婚により、特に女の子は小学校から中学校と高学年になるに従って、学校をやめてしまう子どもが多くいます。
子どもたちや女性がつらい水汲みをしなくてすむように、私たちは、砂濾過器を設置する活動をしました。砂濾過器があれば、汚い水を飲んで病気になることや、遠くまで水を汲みに行くことの負担を減らせるからです。
私たちは、2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにすることを目標として就学支援をしています。
さらに、日本へ入国してくるネパール人の多くが日本での教育に高い期待を抱いています。その希望と夢を成就できるように、私たちUSHA JAPANは全力で教育支援そして教育に集中できる環境や生活支援を行っています。
文化や社会的慣習そしてカースト制度、宗教から、ネパールの女の子は自分自身を大切にすること、自分のために時間を使うこと、夢を叶えるための努力、自分のために頑張りたいという小さな願いさえ失ってしまうほど、家庭での日々の生活を担っています。ネパールでは、いまだに子どもの人身売買、児童婚、児童労働などが行われています。家父長制度、男尊女卑の思想が根強く残っており、女性は自己実現のチャンスを奪われ、自分の意見を発言することも難しい場合が多いです。生理中の女性を汚らわしいものとして日常生活から排除する文化や、貧困や差別から生理用のパットを購入できない、衛生に配慮されたトイレが整備されていないなどの問題から、生理が始まると学校に行けなくなってしまう女の子が多くいます。性と生殖に関するヘルスケアに関しても、十分な情報を得て、自ら意思決定ができていない女性が多いです。
私たちは、女性を対象に現地のNGOと連携し、生理布パッドの提供や自由に自らを表現するための教育支援を行っています。これからも、ジェンダー平等を達成するべく、すべての女性および女児の力を強めることを目指します。また、日本に入国してくるネパール人のほとんどは20~30代の生み育てる世代(生殖可能年齢)にある人々です。学業や就労と婚姻や育児の時期が同時にあることは明らかな事実です。それらの両立が可能な社会に向けてUSHA JAPANは取り組んでいます。
ネパールでは、長い間、水不足と汚染された水による健康被害に対して取り組んできましたが、今も継続する困難を経験しています。
多くの村や山岳、農村地域では、水の公共的な供給設備である水道を使える人は限られています。水道水が利用できたとしても、山の湧き水で、供給が一定ではありません。特に乾季になると水汲み場が完全に干上がる事もしばしばです。
各家庭の近くで、水が手に入れば、女の子や女性は、家から離れた水汲み場までの往復や洗濯をしなくてもよくなります。そしてその水が清潔で安全であれば、水の汚染を原因とする病気から人々を守ることもできます。
ネパールで暮らす人々は、井戸を掘る、濾過器を使う、貯水タンクを作る、雨水を汲む、屋上に水のタンクを備えるなど様々な工夫で水を確保しています。
私たちは、砂濾過装置の普及、安全な水や手洗い、トイレを含む衛生的な生活環境をはじめとする公衆衛生活動に取り組んでいます。
ネパールから日本へ入国する若者は日本もしくは自国で、将来働きがいのある職業を手に入れたいと大きな夢を持っています。日本に入国するネパール人へ技能訓練や留学支援を行うことで、ネパールの若者の自己実現を叶えられる環境を作り、またネパールへ技術移転をして現地経済成長に繋げる活動をしています。私たちは、包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進することを目指しています。ネパールから日本へ入国する若者は日本もしくは自国で、将来働きがいのある職業を手に入れたいと大きな夢を持っています。
超高齢社会である日本を支えるために、外国人介護人材の受入れについて、ますます多くのルートが拡充しつつあります。そのため、多くの外国人が受け入れられ介護という素晴らしい専門職に就き日本で安心した暮らしができること、また自国へ仕送りができること、孤立しない環境があることなど、外国から来日した若ものが、生活者としてイキイキと暮らし、夢を描けること、そしてその夢を実現し新たなビジョンを見出せることを目的にUSHA JAPANは共に支え合っていきます。
私たちは、各国内および各国間の不平等を是正するために、日本やネパールでの健康に関する取り組みをしています。2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力の強化と社会的、経済的そして政治的な包含を促進するために活動しています。
ネパールでは栄養価が低く脂質やカロリーの高いジャンクフードが流行しており、栄養価の高い伝統食が廃れてきています。私たちは、栄養支援を通じて、グンドルックというネパール伝統食の普及と販売による地域経済活性化にも取り組んでいます。
つい最近まで、ネパールではグンドルックが「貧乏人の食べ物」「食べると胃の調子が悪くなる」という認識が広まり、作る人も、食べる人も少なくなってきたという、食文化の変化が起こっていました。グンドルックになる野菜を大量に捨ててしまう家庭もありました。
しかし、私たちはこの食材が間違いなくネパールの伝統的食材の中でも、栄養価が高く、安価で、保存ができる発酵食品であることを確信していたため、ネパールの伝統食材であるグンドルックを村の人々の食卓へ復活させることと、村人の栄養改善を目的としたプロジェクトを始動しました。グンドルックからは乳酸菌が確認され、胃腸の調子を整える効果があることも実証されています。グンドルックを使った、様々なレシピを考案し、健康教育や調理実習など村の人々が主体となれる活動から栄養改善プログラムを提供することで、持続可能な生産消費形態を確保し、食品ロスを減少させ地産地消と販売による経済発展を目指しています。
私たちは誰一人取り残されない社会の実現に向けて、すべての人々に医療と福祉へのアクセスを提供し、包摂的な制度を構築することを目標に活動しています。
あらゆる暴力がはびこる状況下では、貧困や公衆衛生状態の悪化、差別、人権侵害なSDGsが示すあらゆる目標の達成が阻害されてしまいます。しかし、今現在も世界中で紛争は起きており、ネパールでは1996年から2006年ネパール政府軍とネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)の間で武力紛争によって13,000人を超える死者と数千人の負傷者や国内避難民などの被害者を出しました。日本とネパールは、東日本大震災(2011年3月)、ネパール大震災(2015年4月)で互いに支え合い復興に向けて力を合わせてきました。アジアの友邦として、長年にわたり親密で友好的であり両国の繁栄が、平和と公正のもとにますます築き上げられることを願っています。
私たちは持続可能な社会を実現するための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化することで、SDGS達成に向け力を尽くします。
日本とネパールのパートナーシップをより発展させるためには、両国の文化や宗教、教育、経済的背景を理解し合う必要があります。
私たちUSHA JAPANは両国のもつ強みを引き出し、助け合い、両国間で築き上げてきた信頼関係を基盤に様々な活動に取り組んでき行きます。