人身売買・児童労働予防に向けた取り組み
ネパールの社会問題
新たな選択肢と可能性をもち、幸福をつかもうとする心を支える
ネパールには、女性や女の子の不平等が長年の社会問題としてあります。 後をたたない痛ましい犯罪の被害を多くの女性や女の子が経験しています。 2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、その被害はますます拡大しています。 ネパールの人権委員会による人身売買に関する最新の報告書によると、2018 年には 15,000 人の女性と 5,000 人の少女を含む約 35,000 人が人身売買の被害者でした。 人身売買の事例は、生産業以外には、レンガ窯や衣料産業、農業や家事労働があります。いずれも劣悪な環境下で強制労働を強いられます。 今、ネパールでは、人身売買を防止、抑圧、処罰するための国連議定書が発効したため、この犯罪に対処し犠牲者を保護するための準備が整いつつあります。
ネパールでは、子どもたち、特に女の子の成長や発達を妨げる労働、自尊心を低下させ精神的健康や人格形成に有害で危険を伴う労働、自由を奪い搾取する行為が横行しています。労働する子どもたちは、不当に安い賃金で働かされているにも関わらず、家族のため自分のために働いていると信じています。また、子どもを売る貧困層の親は、子どもたちが今の生活より、豊かで安全であること、教育を受ける機会や安定した職が手に入ることを信じています。親も子も騙されているのです。
ネパールの農村部や山岳地域は未だ生活に最も重要な水や電気、ガスを使えていない人々が多いですが、ほとんどの村人が携帯電話をもっています。 近年では、ネットワークを利用し言葉巧みに子どもを誘い出し、家族に相談しないまま逃げるように家を出て、人身売買の被害にあうケースも少なくありません。 子どもたちの純粋さにつけ込み、家族にいつでも会える、夢が叶うと信じ込まされ、人身売買の被害者となります。 子どもたちが自ら正しい情報を求め、理解し、自己決定する力をもつことがあらゆる犯罪や暴力から自分を守る力となります。
ネパールでは、政府やさまざまな機関が人身売買を防止するための努力を行ってきましたが、十分な成果が得られていません。人身売買を排除するためのより強力な措置を講じる必要があります。 女性や子どもの人身売買を抑圧、処罰し国内法を人身売買に関する国際法と一致させるために、2015 年ネパール憲法の第 29 条 (3) は人身売買を法律で規制しました。 また、2020 年国際組織犯罪防止条約を補足するパレルモ議定書に加盟しました。政府はさらに、人身売買について防止、保護、起訴、能力開発と調整、協力に関する包括的な国家行動計画 (2011-2021) を採択し、実施してきました。
それでもなお、続く人身売買の被害から子どもたちを守るために日々我々も闘います。
ネパールで最も被害が多いのは性的搾取であり、人身売買被害者は女性と女の子がほとんどです。近年、女性や少女の人身売買の事例は、携帯電話や、WhatsApp、Facebook、emo、 TikTok などのソーシャルメディアの使用の増加により被害が急増しています。 ターゲットになる女の子に近づき友達リクエストを通じてそれらを結び付け、投稿にいいねまたはコメントし、最終的に直接会い、取引されている事例が増えています。自分自身を守ることができる教育が重要です。
我々は、教育を通じて被害にあわない力をもてるように支援し続けます。
ネパールのインドとの開かれた国境を利用して、「オーケストラ ダンサー」を装ってネパールの女性と子どもをインドに移動させている事が明らかになりました。 さらに中国や韓国では、ネパール人女性が結婚相談所を通じて男性と結婚し、その後家庭内奴隷に追い込まれた例も報告されています。ネパールの女性と少女は、適切な書類なしで、スリランカ、ミャンマー、インドを通じて第三国に人身売買されています。ネパールの家事労働者の多くは有効な労働許可証を持っておらず、人身売買の被害を受けやすくなっています。このような弱い立場にある女の子が救い出され、生きる力を取り戻す支援を行っています。
私たち、USHA JAPANは、人身売買や児童労働から子どもたちを守り、被害にあった人々が新たに人生を再構築する力、幸せになるための生きる力を強められる活動を目指しています。